本日も、りけいのりからお届けします。
前回に続き,今回も微分方程式の応用例を紹介していきます.
今回は,工学(電気回路・材料力学・機械力学)で応用されている微分方程式の具体例を紹介していきます
今回も目標は,
「微分方程式のイメージがつかめた気がする!!」
「微分方程式ってこういう場面で使うんだ!!」
となることです.
微分方程式の例3:電気回路(RLC回路)
以下のような電気回路があるとする.時間に対する入力電圧を
,流れる電流を
とする.
この時に,以下の関係があります.
この解法は,省略しますが,過渡応答や伝送回路の授業で計算することがあると思います.また普通の電気回路では,正弦波交流での三角関数の加減算の計算が難解なので,よく複素数を応用しますね!
微分方程式の例4:材料力学(たわみの微分方程式)
以下のように,ヤング率,断面2次モーメント
,長さ
の片持ちばりがあります.自由端に集中荷重
が作用するとする.
このとき,はりの断面に作用する曲げモーメントは,
と表せる.この時たわみは,
と表せます.この式は,たわみの微分方程式と呼ばれます.この解法は,二階積分していく簡単に解くことができます!この場合,境界条件は,
の時,
,
となりますので,たわみは,
となります.さらに,たわみの最大は,自由端の
に生じるので,
となります.
この式により,はりに荷重が加わるときのたわみを解くことができます!
※初期条件と境界条件
この問題では,「初期条件」ではなく,「境界条件」という言葉を使っています.両方,微分方程式を解くうえでは,一般解から特殊解を求める際に利用します.しかし,工学上は,時間に対する条件なのか,空間に対する条件なのか,で使い分けがあるそうです.
微分方程式の例5:機械力学(1自由度系)
振動の解析では,振動系のモデル化から,運動方程式の導出・解法を行います.以下の図は,ばねとダンパによる1自由度系と呼ばれます.
この時の運動方程式は,
こうなります.この微分方程式は,定数係数線形斉次微分方程式と呼ばれます.この一般解は簡単に求めることができます.ですが,場合分けを行う必要があります.ここでは,不足減衰と呼ばれる場合を紹介します.一般解は以下のようになります.
とすると,積分定数を,
として,
となります.そして,この以下の図のようなグラフとなります.
このグラフは,の値により,形が変わります.
このように,微分方程式を解き,振動の様子を検証することができます!
おわりに
いかがでしたか?
今回は,工学(電気回路・材料力学・機械力学)で応用されている微分方程式の具体例を紹介していきました.
微分方程式は,たくさんの分野で応用されていますね.
しかし,まだまだこんなものではありません.今回紹介しきれなかった応用例はたくさんあります.
少しは,
「微分方程式のイメージがつかめた気がする!!」
「微分方程式ってこういう場面で使うんだ!!」
となりましたか?
そして,ようやく次回から,詳しい微分方程式の解法を紹介していきます!
▽前回の記事▽
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参考文献
1)矢野健太郎 石原繁 (1981),基礎解析学(改訂版)第38版,裳華房
2)高遠節夫 ほか (2014),新応用数学 4版,大日本図書
3)馬場敬之 ,スバラシク実力がつくと評判の力学キャンパス・ゼミ 改訂2,マセマ
4)西巻正郎 森武昭 荒井俊彦 (1990),電気回路の基礎(第三版),森北出版株式会社
5)西巻正郎 下川博文 奥村万規子 (1995),続 電気回路の基礎(第三版),森北出版株式会社
6)西村尚 (1988),ポイントを学ぶ材料力学(第36版),丸善出版
7)西村尚 (2004),機械力学(第12版),コロナ社