りけいのり

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【応用数学】微分方程式の応用例 :工学編【微分方程式②】

本日も、りけいのりからお届けします。

 

前回に続き,今回も微分方程式の応用例を紹介していきます.

今回は,工学(電気回路・材料力学・機械力学)で応用されている微分方程式の具体例を紹介していきます


 今回も目標は,

微分方程式のイメージがつかめた気がする!!」

微分方程式ってこういう場面で使うんだ!!」

となることです.

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微分方程式の例3:電気回路(RLC回路)

以下のような電気回路があるとする.時間\displaystyle{t}に対する入力電圧を\displaystyle{e(t)},流れる電流を\displaystyle{i(t)}とする.

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 この時に,以下の関係があります.

\displaystyle{ e(t) = Ri(t) + L\frac{di(t)}{dt} +\frac{1}{C}\int i(t) dt }

この解法は,省略しますが,過渡応答や伝送回路の授業で計算することがあると思います.また普通の電気回路では,正弦波交流での三角関数の加減算の計算が難解なので,よく複素数を応用しますね!

微分方程式の例4:材料力学(たわみの微分方程式

以下のように,ヤング率\displaystyle{E},断面2次モーメント\displaystyle{I},長さ\displaystyle{l}の片持ちばりがあります.自由端に集中荷重\displaystyle{W}が作用するとする.

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荷重によるたわみ

このとき,はりの断面に作用する曲げモーメント\displaystyle{M(x)}は,

\displaystyle{ M(x) = -Wx }

と表せる.この時たわみ\displaystyle{v}は,

\displaystyle{ \frac{d^2v}{dx^2} = -\frac{M(x)}{EI} = -\frac{W}{EI}x }

と表せます.この式は,たわみの微分方程式と呼ばれます.この解法は,二階積分していく簡単に解くことができます!この場合,境界条件は,

 \displaystyle{ x = l } の時,\displaystyle{ v = 0 } , \displaystyle{ \frac{dv}{dx} = 0 }

となりますので,たわみ\displaystyle{v}は,

\displaystyle{ v = \frac{W}{6EI}(x^3 -3l^2x +2l^3) }

となります.さらに,たわみの最大\displaystyle{v_max}は,自由端の\displaystyle{ x = 0 }に生じるので,

\displaystyle{ v_max = \frac{Wl^3}{3EI} }

となります.

この式により,はりに荷重が加わるときのたわみを解くことができます!

※初期条件と境界条件

この問題では,「初期条件」ではなく,「境界条件」という言葉を使っています.両方,微分方程式を解くうえでは,一般解から特殊解を求める際に利用します.しかし,工学上は,時間に対する条件なのか空間に対する条件なのか,で使い分けがあるそうです. 

微分方程式の例5:機械力学(1自由度系)

 振動の解析では,振動系のモデル化から,運動方程式の導出・解法を行います.以下の図は,ばねとダンパによる1自由度系と呼ばれます.

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1自由度系における振動

この時の運動方程式は,

\displaystyle{ m \frac{d^2x}{dt^2} = -kx -c\frac{dx}{dt} }

こうなります.この微分方程式は,定数係数線形斉次微分方程式と呼ばれます.この一般解は簡単に求めることができます.ですが,場合分けを行う必要があります.ここでは,不足減衰と呼ばれる場合を紹介します.一般解は以下のようになります.

\displaystyle{ \zeta = \frac{c}{2\sqrt{mk}}  }
\displaystyle{ p = w_n \sqrt{1 - \zeta^2}  }

とすると,積分定数\displaystyle{X}\displaystyle{\alpha}として,

\displaystyle{ x = Xe^{ - \zeta w_nt } cos(pt - \alpha)  }

となります.そして,この以下の図のようなグラフとなります.

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様々な振動

このグラフは,\displaystyle{\zeta}の値により,形が変わります.

このように,微分方程式を解き,振動の様子を検証することができます!

おわりに

いかがでしたか?

 

今回は,工学(電気回路・材料力学・機械力学)で応用されている微分方程式の具体例を紹介していきました.

 

微分方程式は,たくさんの分野で応用されていますね.

しかし,まだまだこんなものではありません.今回紹介しきれなかった応用例はたくさんあります.

少しは,

微分方程式のイメージがつかめた気がする!!」

微分方程式ってこういう場面で使うんだ!!」

となりましたか?

 

そして,ようやく次回から,詳しい微分方程式の解法を紹介していきます!

 ▽前回の記事▽

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本日も、りけいのりがお届けしました。

参考文献

1)矢野健太郎 石原繁 (1981),基礎解析学(改訂版)第38版,裳華房

 

2)高遠節夫 ほか (2014),新応用数学 4版,大日本図書

 

3)馬場敬之 ,スバラシク実力がつくと評判の力学キャンパス・ゼミ 改訂2,マセマ

 

4)西巻正郎 森武昭 荒井俊彦 (1990),電気回路の基礎(第三版),森北出版株式会社

 

5)西巻正郎 下川博文 奥村万規子 (1995),続 電気回路の基礎(第三版),森北出版株式会社

 

6)西村尚 (1988),ポイントを学ぶ材料力学(第36版),丸善出版

 

7)西村尚 (2004),機械力学(第12版),コロナ社