本日も、りけいのりがお届けします。
今回は、前回に引き続き、多種多様な機能・構造を有するアルカロイドに迫ります。
復習として、アルカロイドの特徴を箇条書きにしてみました。
有機化合物の命名としては、汎用性の高い定義であることが分かります。
アルカロイドは、構造中に窒素を含みます。この構造的特徴は、生理活性が大きいことと深く関係しています。我々のカラダを構成する分子は、タンパク質、炭水化物、核酸などが挙げられますが、タンパク質と核酸は漏れなく窒素を含有しています。つまり、生体分子と類似の構造をアルカロイドが有することで、代謝に様々な影響を与えるのです。
有機化合物の骨格は炭素です。しかし、それだけでは無味乾燥な有機物しか合成されません。アルカロイド中に存在する窒素や、大気中に豊富に存在する酸素が、炭化水素に参加することで、初めて豊な性質を発現するのです。窒素はいわば、炭素のお化粧といえるでしょう。
我々の脳内には、窒素でお化粧された炭素が溢れています。これらの化合物は神経伝達物質と呼ばれ、我々の感情や、体調をコントロールしています。今回は、神経伝達物質としてのアルカロイドをまとめました*1*2。
神経伝達物質としてのアルカロイド
セロトニン(Serotonin): 神経伝達物質, 危険行動抑制など*1a
Structure and Property were refered from *3.
ノルアドレナリン(Norepinephrine): 神経伝達物質, 緊張・興奮状態の伝達*1b
Structure and Property were refered from *4.
アドレナリン(Adrenaline): 神経伝達物質, 交感神経作用時の興奮などに関与*1c
Structure and Property were refered from *5.
アセチルコリン(Acetylcholine): 神経伝達物質、副交感神経作用時のリラックス状態などに関与*1b
Structure and Property were refered from *6.
GABA (γ-アミノ酪酸): 抑制性シナプス伝達、神経細胞の活動性を下げる*2
Structure and Property were refered from *7.
おわりに
いかがでしたか? アルカロイドは、現在この記事を読んでいるあなたの頭の中でも活発に動作しており、"思考という行為そのもの"に貢献している物質です。そんなアルカロイドに注目すると、今までと違った世界が見えてくるかもしれませんね。
タンパク質を構成するアミノ酸に関しては、以下の記事で詳しく紹介しています。窒素がいずれの分子にも含まれていることが実感できます。
核酸の中でも重要な塩基については、以下の記事について詳しく解説しました。
以上、りけいのりがお届けしました。
参考文献
*1:
中村克樹, 徹底図解 脳の仕組み, 株式会社 新星出版社, a: 感情と情動のしくみ③p20, b: 体内環境を整える脳①p82-83, c: 感情と情動のしくみ②p8.
*2:
脳科学辞典、GABA、Accessed: 2020/11/30.
*3:National Center for Biotechnology Information (2020). PubChem Compound Summary for CID 5202, Serotonin. Retrieved November 26, 2020 from https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Serotonin
*4:National Center for Biotechnology Information (2020). PubChem Compound Summary for CID 439260, Norepinephrine. Retrieved November 26, 2020 from https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Norepinephrine
*5:National Center for Biotechnology Information (2020). PubChem Compound Summary for CID 5816, Epinephrine. Retrieved November 26, 2020 from https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Epinephrine
*6:National Center for Biotechnology Information (2020). PubChem Compound Summary for CID 187, Acetylcholine. Retrieved November 26, 2020 from https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Acetylcholine
*7:National Center for Biotechnology Information (2020). PubChem Compound Summary for CID 119, gamma-Aminobutyric acid. Retrieved November 26, 2020 from https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/gamma-Aminobutyric-acid