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【色素から薬まで】アルカロイド大全①【薬を中心に】

本日も、りけいのりからお届けします。

 

今回は、化学専攻の学生なら耳にしたことがあるであろう、"アルカロイド"に詳しくなる回です。大概、有機化学の教科書の構成は、①反応の概観、②反応の各論と命名法、③生化学や身の回りに活きる有機化学となっていて、"アルカロイド"は②の後半や③にて主に語られます。アルカロイドに対して具体的に知ってることを聞かれたら、あなたは何を答えられますか? (多くの学生は、ぼんやりとしたアルカロイドへのイメージしか無いのではないかと思います)

 

りけいのりがアルカロイドを取り上げようと思った理由は単純ヒュッケル法です。間違えました。単純です。名前がカッコいいからラクトンとか、アミド、とか有機化学では構造に応じて色々な名前が登場しますが、"アルカロイド"ってかっこよくないですか?たったそれだけの理由で、アルカロイドについてまとめます。

 

学び始めるのに、動機は何だって良いのです。何を学ぶかが重要です。

 

ということで、色素から薬まで、ありとあらゆる場面にて活躍する"アルカロイドの世界"にご案内します!

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アルカロイドとは何か

まずは、アルカロイドの定義です。複数の出典から確認してみましょう。

植物から酸で抽出される"アルカリ様"の化合物。窒素を含み、ほとんどはヘテロ環化合物であり、動物に対して強い生理活性を示す。

引用: *1

植物を原料として天然から産出するアミン類は、これらの水溶液にわずかに塩基性であることから"植物塩基"とよばれたこともあったが、現在ではアルカロイドと呼ばれている。

引用: *2

含窒素有機化合物のうちペプチドやタンパク質、これらを構成する通常のアミノ酸 (常アミノ酸)、そしてDNAやRNAの正体である核酸類などを除いた化合物をアルカロイドと総称する。

引用: *3

以上3つの文献から分かることは、次のことです。

これらを頭に入れると、"アルカロイド"という物質に漠としたイメージしか抱けなかった理由が分かります。有機化学における命名の多くは、命名と構造が1:1で対応していたのに対して、ことアルカロイドに関しては構造の総称を指すのです。

 

実は、りけいのりでは既に、アルカロイドの例をご紹介しています。皆さんの多くが口にしたことのあるであろう、"カフェイン"です。

www.rek2u.com

ここでは、カフェインの構造および生理活性の作用機序について解説しています。本記事では、アルカロイドの構造と簡単な説明を、多くの化合物にて行います。

多様なアルカロイド

アトロピン(Atropine): 抗痙攣薬*1

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Structure and Property were refered from *4.

コカイン(Cocaine): 麻酔剤、中枢神経系興奮剤*1

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Structure and Property were refered from *5.

レセルピン(Reserpine): 精神安定剤, 抗高血圧剤*1

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Structure and Property were refered from *6.

エフェドリン(Ephedrine): 気管支拡張剤, 充血除去剤*1

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Structure and Property were refered from *7.

おわりに

以上、多種多様な生理活性を有するアルカロイドについてお届けしました。アルカロイドの生理活性は非常に強力で、少量でも大きな代謝の変化が生じます。それは、我々が窒素化合物だからに他なりません。

 

タンパク質や核酸を構成する窒素残基とアルカロイドの化学性が類似することで、ここまで生体に対して強力な作用を発現するといえるでしょう。まだまだ紹介しきれていないアルカロイドが沢山存在するので、次の機会にお話できればと思います。

 

以上、りけいのりがお届けしました。

参考文献

*1:奥山格, 石井昭彦, 箕浦真生 (2016), 有機化学 改訂2版, 丸善出版株式会社, ノート 19.3 アルカロイド:天然のアミン, 328. 

有機化学 改訂2版

有機化学 改訂2版

*2:J. McMurry, E. Simanek (2015) Fundamentals of Organic Chemistry, 訳書 マクマリー 有機化学概説 (第6版, 第8刷), 訳)伊藤しょう, 児玉三明, 株式会社東京化学同人, 12.7 アルカロイド: 天然に存在するアミン, 408.

マクマリー有機化学概説 第6版

マクマリー有機化学概説 第6版

 

*3:船山信次 (2013), 史上最強カラー図解 毒の科学 毒と人間のかかわり, 株式会社 ナツメ社, 化学的性質による毒の分類, アルカロイドとは?, 78. 

史上最強カラー図解 毒の科学 毒と人間のかかわり

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  • 作者:船山 信次
  • 発売日: 2013/04/11
  • メディア: 単行本

 

*4:National Center for Biotechnology Information (2020). PubChem Compound Summary for CID 174174, Atropine. Retrieved November 25, 2020 from https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Atropine

*5:National Center for Biotechnology Information (2020). PubChem Compound Summary for CID 446220, Cocaine. Retrieved November 25, 2020 from https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Cocaine

*6:National Center for Biotechnology Information (2020). PubChem Compound Summary for CID 5770, Reserpine. Retrieved November 25, 2020 from https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Reserpine

*7:National Center for Biotechnology Information (2020). PubChem Compound Summary for CID 9294, Ephedrine. Retrieved November 25, 2020 from https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Ephedrine