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【理系学生必見】実験ノートの書き方②【実験ノートのお作法】

本日も、りけいのりがお届けします。

 

本記事では、"実験ノート"の書き方シリーズ第2弾として、実験ノートを書く際の注意点についてお話します。前回の記事では、実験ノートを使うことの意義や効用についてお話しました。

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まずは、前回の記事の簡単なまとめを導入として、実験ノートの書き方に迫ります。

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前回のおさらい: 実験の意義、実験ノートの意義

先ずは、実験とはどのような行為だったのか、"りけいのり"としての定義を復習します。

実験文明が推進する上で重要となる、新規事実の発見や仮説検証に伴う行動の最小単位。

ここで重要なのは、"文明の推進"という言葉です。いついかなる時に行われる実験にも、理学的真理の探究や社会課題の解決という、マクロな視点での目標が存在します

 

そこで重要となるのが実験ノートであり、実験ノートには次のような意義が存在することをお話しました。

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実験ノートに宿る意義

以上、3つの効用があることで、研究の正当性は担保され、研究は推進するといえるでしょう。捕捉としては、昔の実験ノートを振り返って眺めて、新しい視点を獲得したり、問題解決の糸口を発見することには、名前がついています。

洞察的問題解決

長い間のインパス(行き詰まり)の状態から突然のひらめきを伴う問題解決である.

引用: *1

なにはともあれ、実験ノートを書くことで、非常にたくさんの恩恵を享受できる、ということです。 

実験ノートのお作法

まずは形式的なところからお話します。例えば、次のような実験ノートを考えます。

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想定する実験ノートのレイアウト

白地に青線が入ったまっさらなキャンパス。ここに、あなたの頭の中で構築した実験系やアイデアで彩を加えていきます。では、早速実験計画を書いてみましょう。

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実験計画書の作成

実験計画書を作成する際には、次のようなことに注意してください。理由も併記します。

  • ページ番号:その都度記入する。あとからページを引き抜けないようにする。情報の整理を行う。
  • 記入者の名前(フルネーム):その都度記入する。自分の実験に責任を持つ。当該研究へのコントリビューションや、特許権主張の根拠にもなる。
  • 日付を記入:研究・開発において、当該実験の実施された日付は非常に重要。同一の特許が出願された場合、優先されるのは申請時期が早い方。同一の発見がなされた場合、第一発見者は当然、より早く発表したほう。以上の各種発表手続きの際、実験ノートは重要な根拠となる。
  • 自分以外の誰かの確認サイン:自身の研究を複数の目にさらすことで、情報の信ぴょう性を高める。
  • 余白は〇で埋める:余白が生じると、あとから書き込み等が可能になってしまう。あらかじめ余白を防ぐことで、データの改ざんを防止する。
  • ペンで書く:消すことができないインクを用いて記録。改ざんを防止し、アクシデントによる文字の消失リスクを低減させる。

図に示した実験ノートでは、化学系の実験計画の一部を示しています。実験計画、こと実験手順を記載している場合、使用する危険物や毒劇物の性状、量を把握していることが前提となります。試薬の情報は、各メーカーがウェブ上で公開している、化学物質等安全データシート (MSDS: Material Safety Data Sheet)が参考になります。実験計画書に使用量を併記することで、試薬在庫管理がスムーズになります

 

実際に実験を行う際には、実験ノートに

  • ○○を、1滴ずつ、ゆっくりと
  • ▲▲の攪拌は素早く
  • ここでのサンプルは念のため保管しておく

など計画時に浮かび上がらなかった、言語化されていなかった情報を記してください。

 

実験計画書を作成する上で重要なもう一つの点は、字をできるだけ大きく書くことです。多くの場合、特に化学系では立ち作業での実験が多いことから、実験ノートと顔の位置がどうしても離れがちです。そこで、文字が大きい程、実験ノートの内容把握が容易となります

 

 

続いて、データの記入・添付についてです。

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実験データの記入、添付

データ等の記入時には、次のようなことに注意してください。

  • 続き、と記入:同一日時の実験が複数ページをまたぐ場合には記入しましょう。
  • 別紙資料の添付:割印により、本人がその時にデータを添付したことを証明。セロハンテープ等により、上から印を保護。
  • パスの記載:実験ノートに記載されたデータが、PCのどのディレクトリに存在するのか、いちいち探さなくて済むようになる。

※ここからは、りけいのりからの推奨事項です

実験により得られた着想やアイデア等、試行錯誤の記録も実験ノートに記入することをお勧めします。これは、研究記録の面ではもちろんですが、他者 (例えば後輩)に実験内容を伝える際に、非常に有益な情報となります。できるだけ、頭の中を言語化することを心がけて下さい。

 

おわりに

今回は、実際に実験ノートを書く際の具体的なお作法についてお話しました。この記事を読んだあなたは、実験を行っても漏れなくダブりの無いデータを記録することができるようになっているはずです。是非、ご自身の生活に役立てて頂ければと思います。

 

こちらに、おすすめの実験ノートを掲載しておきます。皆さんのおすすめ実験ノートがありましたら、ぜひ教えて下さいね ♪

本記事を通して、実験ノートの具体的な書き方が伝わっていれば幸いです。以上、普通のノートより、実験ノートを持った時により重みを感じる、りけいのりがお届けしました。

参考文献

*1:

鈴木宏昭, 福田玄明 (2013), 洞察問題解決の無意識的性質, 認知科学, 20(3), 353-367.

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