本日も、りけいのりからお届けします。
LINEやFacebook、Twitterなど、20世紀では考えられないほど多くの人と、同時にコミュニケーションをとれるようになった現代。ディスプレイ上の友達が増えるほど、人間関係が複雑になってきました。利便性を求めると、そこには新たな課題が存在するというのは、世の常ですね。
皆さんは、どのような社会的背景に身を置いていますか? もう少しかみ砕くと、次のような関係に、あなた自身は位置付けられますか?
- 上下関係:上司、部下の関係、先輩、後輩の関係
- 交友関係:地元の友人関係、趣味の合う友人関係
- 親密な関係:家族との関係、恋人との関係
ここまででの話の流れだと、どうも人間関係に関する心理学の話になりそう。ですが、今日は脇道に逸れます。もちろん、人間関係にも深く関係することです。
それは、"心理的リアクタンス"という心理の性質について。
小さなことを発端に、友人や家族、恋人と衝突してしまうことはありませんか?
例えば、
- 学生時代、勉強まだやらないの? とせかされる
- 地元の友達に、恋人まだ作らないの? といわれる
- 友達にライブチケット取とっておいて!! と急なお願いをされる
- ゲームをしてる最中に、親に早くご飯食べなさい、と言われる
ちょっと、イラっとしたりしますよね(笑) なんなんだよ?! って感じ。
これらには、実は共通点があります。心理的リアクタンスが働いている、ということです。本記事で詳しく解説します。
心理的リアクタンスとは
まずは、心理的リアクタンスとはどのような現象を指すのか、言葉の定義を致します。
心理的リアクタンスとは、別名カリギュラ効果とも呼ばれる心理学用語を指す。自身の行動や考えが何者かに抑制されることで、かえって抑制前の傾向が増強されるという効果。
参考: *1
心理学的に広く認められている効果なので、これはすなわち、ヒトの心には"心理的リアクタンス"という性質が備わっていることになります。
では、何故心理的リアクタンスが発生するのか。それは、もう一つの心理学用語、"自己効力感"に関係しています。自己効力感とは、非常にざっくりと表現すると、自信です。"自分の能力があれば、たいていのことならやってのけられる"という自覚に伴う充足感ともいえます。
我々ヒトには自我が存在します。自我とは、"わたしがわたしであること(アイデンティティ)"の象徴であり、自己効力感を失うことは、自我を傷つけられることに繋がります。
自我を傷つけられてしまうことは、"アイデンティティの存在"を脅かされるということに他なりません。そこで、"自己効力感"を損なうような言動をされた場合には、それに反発するココロの動きが生じるようになるのです。
この文章に、心理的リアクタンスの性質が簡潔にまとめられています。
高圧的に説得しようとするメッセージは、受け手にとっての自由への脅威と感じられるため、心理的反発(リアクタンス)を招いて反対の方向に態度を変化させてしまうことがある。
参考: *2
自己効力感について考える
ここでは、心理的リアクタンスに深く関係している自己効力感について考えてみます。何について考えるのか。それは、現代における自己効力感のあり方です。
半世紀前と比較して、人間一人ひとりの個性が、当たり前のように尊重される時代になりました。これは喜ばしいことです。何故なら、だれもが自分を自分として、愛することができるような時代になりつつあるからです。
これはすなわち、人それぞれが有する"自己効力感"が満たされる時代になったということです。男尊女卑、セクシャルマイノリティーの迫害、人種差別。人類の負の遺産がなだれ落ちる時代です。
でも、もっと小さな、身の回りの出来事について考えてみましょう。
- 子供に、習い事や宿題を強制する。
- 友達に無理やり何かをさせる。
- 彼氏/彼女の情報を詮索する。
こんなことはしていないでしょうか。相手の自己効力感をそぐような何かを、してはいないでしょうか。
人と人が、気軽に繋がれるようになった世の中だからこそ、相手との距離感により一層の注意を払う必要があります。
おわりに
今回の記事では、心理的リアクタンスと自己効力感について考えてみました。
心理的リアクタンスの多くは、適切なコミュニケーションをとることで回避できます。また、"心理的リアクタンス"というココロの性質を知っているだけでも、ご自身の状況を客観視するのに効果的です。
SNSの普及により、コミュニケーションが、テキストメッセージ(一次元的)、ビデオチャット(二次的)に制限されています。そして、ただでさえお互いのことをよく知らない我々が、今までよりも、もっと少ない情報量で相手とやり取りしているわけです。
オンライン上での、お互いの認識の誤解が生じること請け合いです。
- "心理的リアクタンス"を招くコミュニケーションをしていないか。
- "相手の自己効力感"を尊重したコミュニケーションをしているか。
こんなことを考えることが、優しさだったりするのかもしれませんね。
以上、りけいのりがお届けしました。