本日も、りけいのりからお届けします。
今回の記事は、前回に引き続き、大学院入試について取り扱います。 大学院入試に関しては、大学入試と比較して、その情報は限りなく少ないです。また、大学ごとに様々な情報が乱立しているのが特徴です。このような現状を受けて、りけいのりではどのような大学院を志望する際にも共通する、大切なことについて取り扱っていきます。
一連の記事を読んでここだけのナレッジを獲得し、是非大学院志望者の中で情報優位性を獲得してください。
前回の記事では、大学院入試に臨む際のマインドセットについてお話しました。未だ読んでいない方は、併せて読むと情報強者になれます。
今回の記事では、大学院の決め方についてお話します。
どうやって大学院を決めようか
ジェネラリストかスペシャリストか
さて。今、受験に悩めるあなたにとっては、非常に重要な話題ですね。どのように大学院を決めましょう。
基本的に、大学院へ進学するときには、2つの疑問を投げかけると良いと思います。
- ジェネラリストになりたいか、スペシャリストになりたいか
- どのような研究がしたいか
まずは、設問1.について。これは、大学院の選択というよりは、むしろ人生の選択です。あなたはどのような人間になり、どのような人生を歩みたいのか、ということです。
前回の記事にて、既にあなたが大学院へ行く理由が明確に定まっているという状態になっていると思うので、この質問には答えやすいのではないかと思います。ジェネラリストとスペシャリストのおさらいをしましょう。りけいのりなりに定義します。
- ジェネラリスト (Generalist):幅広い研究分野に精通し、各分野間のつながりを理解し、複合的な視点での問題解決のできる研究者。ラテラルシンキングを得意とする。
- スペシャリスト (Specialist):一定領域の研究分野に非常に精通しており、日本あるいは世界では、自分の研究分野に一番詳しいと自負がある研究者。ロジカルシンキングを得意とする。
どちらの人間に、あなたは憧れますか?
ジェネラリストであれば、将来的には、チームの中心として、異なる専門性を持つ研究者間のパイプ役となり、全体を最適化できる人間になるでしょう。
スペシャリストであれば、将来的には、業界のリーダーとして、独創的で高度な研究を行い、分野によっては世界的にも認知されることになるでしょう。
と、研究者には大きく分けて2つのタイプが存在します。例えば、ジェネラリストであれば、今行っている分野に縛られることなく、興味のある分野に挑戦することをお勧めします。また、スペシャリストになりたいのであれば、今行っている研究分野から軸を大きく変えるのは得策ではありません。
このように、進路方針を決めることができました。
続いては、大学院を実際に選んでみます。
大学院を決めよう!!
やっとここまで来ました。しかるべき手順を踏むと、大学院を決めるまでにはかなり時間がかかるのです。それでは、大学院へ行く理由をおさらいすると、それは
研究を行うため
でした。つまり、勉強という知識・思考・論理のインプットではなく、未だ明らかになっていない何かを生み出し、明らかにするアウトプットを行う場です。
つまり、何を学びたいかというのは、あまり重要ではありません。そもそも、大学にて学士を有している人間であれば、自主的な学びを展開することができ、一定程度のレベルまでは学習環境に依存せずに自分を高められます。
では、"ジェネラリストかスペシャリストか?"という問いに対する答えを参考に、あなたはどのような研究を行いたいのか、考えてみましょう。
ここでの数値目標としては、興味のある研究分野を専門とする研究室を、3研究室以上探す。
分野によっては、難しいかもしれないので、あくまでも努力目標です。ここで、3つ探すことができたあなたは、次のステップに移ります。
研究室のHPや研究業績などをリストアップし、相互比較を行う。
ここでは、その研究室が研究活動に対して精力的なのか、ということを調査します。ちなみに、大学院とは言えど、自己成長できないような場所はいくらでもあります。ここでの選択が人生を決めると重く捉えて、しっかりと情報収集することが大切です。
研究室のHPには、研究業績の欄に、論文発表や学会発表の実績が記載されています。これらの評価をする際のポイントは、
- 学会:国内学会か国際学会か、学会規模はどの程度か、など。
- 論文:ジャーナルのIF (インパクトファクターはどの程度か)、最近そのジャーナルに挙げられている論文の質はどうか、など。
- そもそもホームページがあるか。更新頻度は高いか否か。
が挙げられます。そもそもホームページがあるか、というのは実は重要なことです。その研究室が、外部から見られることを意識しているのか、ということを端的に示しているからです。ホームページなどの情報に乏しい研究室は、閉じた環境なので、内部生に有利な場所であると言えますし、研究内容を社会還元すべきであるという観点からはあまり良くありません。
ここで、自分のやりたいことをやっている研究室を1つか2つに絞ります。
ここからは、さらに研究室を精査します。研究室見学です。今までにあなたは、やりたいことを明確化し、志望研究室の論文を読み込み、研究業績にも触れています。つまり、他の学生とは大学院進学に対する意気込みが違うわけです。
そのことを、
研究室見学のお願いをするメールに、余すことなく盛り込みましょう。
ここで、研究室の教授または秘書のメールアドレスが、ホームページには掲載されているはずです。無い場合は、教授の名前を検索し、研究者情報からコンタクトをとる手もあります。
例文を以下に添付します。
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〇〇先生
突然のご連絡失礼致します。〇〇学校の〇〇と申します。〇〇大HPの研究室紹介ページにて非常に興味を惹かれた為, 〇〇先生にご連絡させていただきました。
私は, 現在〇〇専攻〇年生として研究活動を行っております。現在は〇〇に関する研究を行っております。今後も研究活動は続けたいと考えており, 一方で大学院では現在の分野から一歩離れ異分野の研究に歩みを進めたいと常日頃考えておりました。
貴研究室では, 〇〇を行っており, 興味を持ちました。
特に一番最後に挙げました, 〇〇に関しては, 〇〇といった印象を受け, 非常に興味を持ちました。
また, 2016年パブリッシュの"論文名"を拝見しましたが, ○○を与えることを, ○○から明らかにした研究には衝撃を受けました。
そこで研究室に見学をさせて頂くことは可能でしょうか。
もし、お受けいただけるようでしたら、下記の候補日の中で、1時間程度お時間をいただける日程はございますでしょうか。
※※候補日※※
大変ご多忙の中恐縮ですが、ご返信頂けますと幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
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と、この学生はジェネラリストになりたい人ですね。
無事、研究室見学に受け入れて頂けたら、その日までに、聞きたいことをなるべくたくさん用意しておきましょう。当日にチェックすることとしては、
- 研究室の雰囲気はどうか
- 過去問題は手に入るか (一般公開されていない場合)
- 先輩は、どのように入学したのか
- 先輩は、どのような勉強をしたのか
- 先輩は、どのようなキャリアパスを考えているのか
などなど、いろいろ聞きたいことは挙げられると思います。
ここで行きたいと思えた大学院を志望しましょう。
ここまでくれば間違いは無いと思います。その研究室を第一志望にしましょう。
大学入試とは異なり、大学院入試はその研究室にて研究がしたいから進学します。つまり、滑り止めを設けるのであれば、あなたのやりたい研究をしっかりと行っている研究室のある大学院にするべきです。間違っても、学力や入学のしやすさなどを理由に、滑り止めを設けてはいけません。
いけません、というよりは、滑り止め先の研究室の先生に失礼です。滑り止めにするのであれば、研究室見学の際にあらかじめ、その旨を伝えましょう。
ということで、今回の記事を通して、あなたは心から行きたいと思える大学院を見つけました。次回は、受験科目の決め方やその他の注意点についてお話します。
おわりに
いかがでしたか? この記事を通して、自分の人生の2年あるいは5年を資するに値する研究室が見つかれば幸いです。With コロナ時代においては、リモートでの先生とのお話や研究室見学にはなることもあるとは思いますが、姿勢は変えずに、行きたいということを伝えましょう。
ここまで読んでくださった、あなただけへの情報。
りけいのり自身は、大学生にして3年生の年の夏休みに、志望する研究室にインターンシップに受け入れていただきました。夏休みを通して、研究室の空気感に触れ、そして第一志望研究室を決定したのです。
このように、できるだけ長い時間、その研究室に触れ合えた方が、間違いは少なくなるでしょう。
準備は、早ければ早いほど良い。
大学院へ行くのに、惰性で行くな。
その研究業界を盛り上げるつもりで行こう。
以上、りけいのりがお届けしました。