【Re:K】りけいのり

かがくをやさしくおもしろく

MENU

【驚愕】ヤバい物質、5選。

にほんブログ村 科学ブログへ

本日も、りけいのりからお届けします。

 

今回の記事は化学に関連して、生理活性機能性が凄まじい物質をご紹介します。

 

有機合成化学が1950年代以降に発展し、人類は意図した化合物を手に入れられるようになりました。本記事でも紹介する、海藻により生産される猛毒のパリトキシンの全合成が象徴的です。

 

科学技術の発展に伴い、有機合成に関する化学工業のスケールも拡大し、大量で多様な化学物質の製造が行われています。実際に、毎年300種類程度の新規化合物が市場に流通しています1)

 

今回の記事では、少しヤバめな物質の織り成す世界に、あなたをご招待します。

f:id:ReK2Science:20200921040514p:plain

 

 

サッカリン

この物質の名前を聞いたことがある人は多いかと思います。サッカリンは、人工甘味料の一種で、砂糖の350倍の甘さを誇ります2)。構造的には単純ですが、この物質が我々の甘味細胞 (舌上に存在する味蕾細胞)を刺激することで、猛烈な甘さを感じます。

f:id:ReK2Science:20200921034159p:plain

とっても甘いサッカリン3)

"体に悪い、発がん性がある"などのイメージをもたれるが、科学的に発がん性は無い模様です2)

 

パリトキシン

冒頭でも紹介したパリトキシンは、ヤバい毒です。イワスナギンチャク類 (属名: Palythoa)から単利されたのでパリトキシン4)。お化けみたいな構造を持つパリトキシンは、次のような生理活性を持っています4)

  • 細胞膜表面のナトリウムチャネルに作用しナトリウム透過性向上
  • 冠動脈の極度の伸縮作用
  • テドロドトキシン (フグ毒) の20倍強い

f:id:ReK2Science:20200921034312p:plain

恐ろしいパリトキシン5)

構造からして複雑なこの分子は、全71種類の立体要素 (キラル中心などの異性体を生じる構造要素)を含んでおり、1994年にハーバード大学の岸義人らにより合成された6)

 

フッ化水素

半導体製造などに欠かせない無機化合物。高校化学でも良く出てきます。フッ化水素は、その他のハロゲン化水素と比較して弱酸性であることが特徴です。理由としては、

が挙げられます。毒物であり、濃フッ化水素水溶液(フッ化水素酸)は、化学的に安定であるガラス容器ですら犯します。例えば、フッ化水素酸が腕に付着した場合、皮膚を浸透し、骨と化学反応を引き起こします7)。恐ろしいですね。

f:id:ReK2Science:20200921040251p:plain

とっても危険なフッ化水素8)

エタンチオール

エタンチオール (エチルメルカプタン) は、エタノールの酸素が硫黄に置換した分子で、構造も単純です。特徴はその匂い。世界で一番臭い物質として、ギネス世界記録に認定されているほどです9)。玉ねぎ臭と表現されるその匂いは、都市ガスなどの漏洩を即座に検知できるよう、付臭用途で利用されます。

f:id:ReK2Science:20200921041126p:plain

臭すぎる、エタンチオール10)

スペルミン

ここまで読んでくださったあなたには、独特なアレの匂いの原因をご紹介。スペルミンは、精液中に多く含まれる窒素化合物です。精液は英語でSperm, 窒素官能基をAmineと称することから, スペルミンと名付けられました11)。精液中のみならず、スペルミンは体内の至るところで利用されます。

f:id:ReK2Science:20200921042517p:plain

精液中に含まれるスペルミン12)

おわりに

以上、ヤバい物質を5種類紹介しました! 化学構造が単純なものから複雑なものまでの多様な物質が、生体に大きな影響を及ぼします。我々人類は、化学、生物学を通してこれらの物質を眺め、生物へ与える物質の影響を認識し、制御することができます。

 

そして、能力には責任が伴います。科学的リテラシーとモラルを持った人間になることで、化学物質とも上手に付き合っていけると言えるでしょう。

 

以上、りけいのりがお届けしました。

 

ps. サムネ中の画像に存在するペルフルオロデカリンは、酸素との親和性が高いことから人工血液に利用されるような物質です。今回紹介しなかったのは、"○○、×選!!"的なサムネ詐欺を再現してみたかったためです。ご了承ください。第二弾を書くことがあれば、そこで紹介いたします。

参考文献

1) 庄司良, 下ヶ橋雅樹 (2018), 物質工学入門シリーズ 基礎からわかる環境化学, 序章.

基礎からわかる環境化学 (物質工学入門シリーズ)

基礎からわかる環境化学 (物質工学入門シリーズ)

 

2) J.E. McMURRY, E.E. Simanek (2007), Fundamentals of ORGANIC CHEMISTRY 6th edition, 化学余話 甘味, 483. 訳) 伊藤椒, 児玉三明.  

 

3) The structure was dowmloaded from PubChem, Accessed: 20200920.

pubchem.ncbi.nlm.nih.gov

 

4) 船山信次 (2013), 史上最強カラー図解 毒の科学 毒と人間のかかわり 第2刷, 株式会社ナツメ社, 第4章 毒をもつ動物や植物. 

史上最強カラー図解 毒の科学 毒と人間のかかわり

史上最強カラー図解 毒の科学 毒と人間のかかわり

  • 作者:船山 信次
  • 発売日: 2013/04/11
  • メディア: 単行本
 

 5) The structure was dowmloaded from PubChem, Accessed: 20200920.

pubchem.ncbi.nlm.nih.gov

 

6) 奥山格, 石井昭彦, 箕浦真生 (2016), 有機化学 改訂2版, 丸善出版株式会社, 序 有機化学: その歴史と領域. 

有機化学 改訂2版

有機化学 改訂2版

 

7) 8.フッ化水素酸(フッ酸) - 神戸大学大学院工学研究科.

http://www.eng.kobe-u.ac.jp/pdf2/1-2-8.pdf

 

8)  The structure was drawn by ChemSketch.

f:id:ReK2Science:20200907101755p:plain

 

9) エタニティ HP, Accessed: 20200921. 

eternity-webshop.jp

 

10) The structure was dowmloaded from PubChem, Accessed: 20200921.

pubchem.ncbi.nlm.nih.gov

 

11) ビフィズス菌 LKM512, ポリアミンについて, 協同乳業株式会社, Accessed: 20200921.

www.lkm512.com

 

12) The structure was dowmloaded from PubChem, Accessed: 20200920.

pubchem.ncbi.nlm.nih.gov