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【激甘】サッカサッカリンリンの合成成功!! 砂糖の2兆倍。

 本日も、りけいのりからお届けします。

 

今回の記事をお読みになる前に、こちらをご覧ください。

rek2science.hatenablog.com

 以上の了承のもとに、お楽しみください。

 

 

 皆さん、突然ですが、

  • 甘みはどのように感知されているか
  • 世界で一番甘い物質は何なのか

答えることができますか?

 

甘い食べ物はダイエットの敵、生活習慣病の原因と、悪い印象を抱かれがちですが、人間の生命維持には糖が不可欠です。過剰摂取は良くありませんが、欠乏状態も良くは無いのです。

 

今回の記事では、世界で最も甘い物質が合成されたので、紹介いたします。

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甘さはどこからやってくる?

まず、甘さについての理解を深めましょう。

 

感覚器官

甘みは、人間の味覚によって感じ取られる物質の性質の一種で、特に舌によって感じ取られます。以下、舌表面に存在する感覚器官、味蕾と、舌表面で感じ取られる味覚と場所の対応図を示します。

 

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味蕾の構造1)と舌の味覚マップ2)

味の蕾(つぼみ)と表現するように、舌表面には蕾のような味蕾と呼ばれる感覚器官が存在します。味蕾は、舌表面に存在する乳頭と呼ばれる小突起を構成し、味蕾自体は複数個の細胞からなっています1)。味蕾細胞の新生は早くに起こり、そのサイクルは10日です1)。味蕾は、様々な化学物質の信号を受け取り、電気化学的な信号を脳に送ることで、味覚は成立するといえます。

 

ここで、異なる味の感知は異なる味細胞によって行われ、味質特異性が示唆されています1)。代表的な味と、それらを感知する味細胞の分布を上図に示しました。

 

今回着目する甘味は、特に舌先によって感知されます。

それでは、甘みを発現する物質の共通点はあるのでしょうか。

 

甘味物質の性質

まず、甘味物質の感知は、様々なタンパク質の協同によって行われます。甘さの感知に関与するタンパク質としては、Tas1R2およびTas1R3が知られており、これらの協同によって甘味は感知されることが明らかになってきました3)

 

つまり、分子レベルではこれらのタンパク質と相互作用のできる分子が甘味を発現すると言えます。よって、一般的にどのような構造をとると、甘くなるというような定義が難しいです。人間は、自分の生命維持上メリットのあるような物質に対して、甘いという感覚が想起されるような、自然淘汰を受けてきたのです。

 

続いて、甘いとされる物質の分子構造に迫ります。

 

 

甘い物質大全

甘味は、摂取温度やその時の体調にも影響を受けることから、定量化が難しい感覚です。甘みは現在、"甘味度"という形で、官能試験により定義されています。基準物質としてのスクロース(砂糖, ショ糖) と比較してどの程度甘いのか、その濃度の閾値などから定義されます。

 

以下に、甘味物質の構造とその甘味度をそれぞれ示します。

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甘味物質の構造と甘味度4)5)

この中では、人工甘味料であるサッカリンの甘味度が一番高いです。

それでは、今回発見された、サッカサッカリンリンの構造と甘味度はどの程度なのでしょうか。

 

サッカサッカリンリンの威力

こちらが、サッカサッカリンリンの構造とその甘味度です。

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前述の甘味物質とはレベチの甘味度。もはや兵器です。

 

サッカサッカリンリンは、イギリスのシューリンガン大学の研究チームが合成に成功した甘味物質です。この物質が合成された瞬間、大学の研究室から半径一キロ圏内で、甘い香りが漂ったそうです。

 

 

この物質は現在、劇物指定を受けています。原則的に、合成も禁止されています。

ただめちゃめちゃ甘いだけなのに。

 

海に1 gのサッカサッカリンリンを溶かすと、1年後の海はほのかに甘くなると言われています。この物質を1 ng口にすると、5か月間は口内が甘いままになります。

 

この物質ははたして、人工甘味料としての地位を築けるのでしょうか。

 

 

おわりに

今回の記事では、世界で一番甘い甘味物質、サッカサッカリンリンについてまとめました。筆者も少しだけなめてみたい気持ちがありますが、一生後悔しそうな気もするので遠慮しておきます。

 

甘党のあなた、是非チャレンジしてみては?!

 

以上、りけいのりがお届けしました。

参考文献

1) 吉田竜介, 味蕾, 2018.1.23, Access: 20200910.

bsd.neuroinf.jp

2)  S.D. Munger, The Taste Map of the Tongue You Learned in School Is All Wrong, 2017, 5, 23, Access: 20200910.

www.smithsonianmag.com

3) 樽野陽幸 (2015), 分子レベルで明らかになってきた舌で甘さを感じるしくみ, 独立行政法人 農畜産業振興機構, Access: 20200910.

www.alic.go.jp

 

4) PubChem, Access: 20200910.

pubchem.ncbi.nlm.nih.gov

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5) J.E. McMURRY, E.E. Simanek (2007), Fundamentals of ORGANIC CHEMISTRY 6th edition, 化学余話 甘味, 483. 訳) 伊藤椒, 児玉三明. 

 

※本記事の内容は、実在の人物や団体などとは関係ありません。ご了承ください。

※サッカサッカリンリンは架空の化合物です。