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【科学一般】アリはすごい。

本日も、りけいのりからお届けします。

 

今回のテーマは、ズバリ、アリ

先に申し上げておくと、

アリについて知らない人ほど、見てほしい内容

を書きます。

 

一年を通して、田舎から都会まで、どこにでも生息する昆虫。私たちにとって、非常に身近な昆虫にして、子供たちの無邪気な遊びの犠牲者。黒くて小さくて、でもそれ以上のことはあまり知られていない

 

もしかすると、アリはヒトよりも繁栄に成功した生物かもしれません。地球上に生息する生物種の重さの和 (バイオマス)の、少なくとも約15%はアリが占めているのです1)。驚愕の数字です。地球の生命の15%は、アリなのです。地球は、アリの惑星ともいえるでしょう。

 

 本記事にてアリを取り上げた理由には、あんなに小さい体に沢山の巧妙な仕掛けが含まれているから。そこにはもちろん、科学的な学びが含まれます。あなたは、アリの生態を知ることで、必ずや驚くことでしょう。

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アリの正体

分類上、アリはハチ目アリ科に属する昆虫で、日本には9亜科、約300種類が生息しているとされています 2)。特に、我々が良く目にするのはクロヤマアリという種類です。ハチの仲間といわれてみると、確かに体の形状はハチとアリで似ていることが分かります。

 

ハチが女王バチを中心としたコロニーを形成する社会性昆虫であるように、アリもまた女王アリを中心としたコロニーを形成する社会性昆虫です。その興味深い生態は、今までに多くの研究によって調査されており、分子レベルで仲間の識別を行っていることが明らかとなっています。

 

飼育のしやすさもアリの特徴で、小さな働きアリ (Worker) がせっせと巣を造る作業は、いつまで見ていても飽きないものです。

 

以下に、アリのカラダの構造と名称を示します。

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アリのカラダとその名称

アリに関わらず、生物が社会性を獲得するためには個体間のコミュニケーションが欠かせません。我々人間は、言語やジェスチャーによるコミュニケーションにより、生態系の頂点に君臨しています。一方、アリは視覚的、聴覚的なコミュニケーションには依存していないようです。何故なら、

  • 基本的に地中で暮らす彼ら/彼女らは、光を必要とする視覚的コミュニケーション
  • 発声器官などを必要とする聴覚的コミュニケーション

に頼ることができないからです。

 

代わりに、彼らは化学的コミュニケーションにより、その高度な社会性を維持しています。フェロモンや炭化水素を利用することで、協同性の高い昆虫社会を確立し、数の暴力とチームワークによって被食者を圧倒します。

 

アリたちの織り成す化学的コミュニケーションに関しては、それだけでブログが1本成り立ってしまうので、ここでは深入りしません。本記事では、アリの生活環にフォーカスします

 

 

 

アリの生活環

アリのライフサイクルは、こんな感じになっています。

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アリの生活環

基本的に、上記のライフサイクルは、

  • 働きアリ: Worker
  • 女王アリ: Queen Ant
  • 雄アリ(一時的発生)

の協同によって成り立ちます。特に、巣の社会性は女王アリにより維持されることが、科学的に明らかとなっています。巣から新女王アリが誕生すると、雄アリと共に結婚飛行、交尾を行います。ここで、女王アリおよび雄アリの双方には翅があるのですが、女王アリは交尾を終えると、自分の羽を切り落として新たな巣を造り始めます。

 

以下の動画は、りけいのりが偶然撮影した、女王アリが羽を自切する光景です。

撮影日: 2020年9月18日(金)、気温: 25℃、天気曇り

youtu.be

アズマオオズアリの女王と思われます。生命の本能って、すごいですよね。誰に教えられたわけでもなく、女王は自分の羽を切ることを知っています。

 

新女王が新しい巣を造ってからは、アリの種にもよりますが、大体10年程度は営巣が続くとされています。北米のハキリアリの例では、30年もの間巣が維持された記録もあります2)。10歳の子供がアリと遊んでいて成人を迎えるまで、その巣は維持されるのです。10年間、日々巣を大きくするために、せっせと働いています。その健気な姿には、愛おしさすら感じてしまいます。

 

アリの生活環は以上です。あなたの家のすぐ下で、アリの王国が築かれているかもしれません。


おわりに 

いかがでしたか? こんなにも身近な昆虫ではありますが、知らなかったことが多かったのではないかと思います。

 

今回の記事を通して、とっても身近なアリたちが少しかわいいと思ってもらえたら幸いです。記事中にて出てきた、フェロモンに関しては、過去にまとめたものをご覧ください。

 

rek2science.hatenablog.com

 

以上、りけいのりがお届けしました。

参考文献

1) 知られざるアリたちの驚異 (2007), ナショナルジオグラフィック, Accessed: 20200921.

natgeo.nikkeibp.co.jp

2) 寺山守 (2020), アリハンドブック 増補改訂版 第2刷, 株式会社 文一総合出版